CT について


当院でも平成26年5月より,CT (3D) 画像診断装置を導入しています。
3D画像では,これまでのレントゲン画像で判断しにくかったことがわかるようになってきたことが最大のメリットです。どのような場合に用いているかを具体的な症例で紹介いたします。
 歯周病の診断(骨吸収の状態確認)
歯周病が進行してくると,歯の周りの骨が溶け始めます。どのような形にどの程度溶けてしまっているかを診断するするには,従来はレントゲンの二次元情報とポケットプローベという器具を使用して探る(プロービング)というのが一般的でした。もちろんこの方法でも状態を把握する事は出来ますが,プロービングは術者の経験値が必要ですし,そこで得られた情報を客観的に記録するには限界があります。
しかし,3D画像では簡便に且つ正確にそれら情報を把握することができます。


上の画像は矢印部分が歯周病で骨が溶けてきています。レントゲンからもある程度の情報は得られますが,奥歯は歯根が複数あるためどの様に溶けているか詳細までは分かりにくいことが多いです。


同じ方の3D画像の一画面です。(もちろん3Dですので,別角度や色々な切り口で見ることが出来ます。)骨の吸収状態(黒く抜けている部分)が詳細に確認出来ます。

親知らず(埋伏歯)と下歯槽管の位置確認
下顎の親知らずは,成人になっても理想の位置に生えることが少ない歯です。現代人の顎が小さくなってきているためと考えられます。そのため,存在自体が悪影響を及ぼすことがよくあります。歯の向きが斜めや横になってしまい前の歯を押すことによって歯並びに影響が出る場合や,歯冠の一部だけが口腔内に露出することにより,周囲に汚れが溜まりやすくなり虫歯の発生や歯肉炎,歯周炎に繋がる場合などです。
当然,抜歯適応となることが多いわけですが,抜歯に際して注意すべきことがあります。下顎には「下歯槽管」と呼ばれる神経と血管の入った集合管が走っています。この下歯槽管が親知らずのすぐそばを通っている場合は,抜歯の際傷つけないように気をつけなければいけません。
3D画像があればこの位置関係を詳細に把握することが可能です。


この赤矢印の間(少し黒く抜けている部分)に下歯槽管が走っています。黄色矢印付近で親知らずの歯根と近接してる可能性があります。

  
同じ方の3D画像(立体イメージ図)です(3枚)。下歯槽管との位置関係が立体的に把握出来ます。
根管の状態確認
虫歯が進行してしまうと歯の中にある神経に達してしまいます。そのような状態になると感染を受けた神経を取り除く(神経を抜く)治療が必要となります。これまでは神経が入っている管(根管)の確認をレントゲンの二次元情報を元に行ってきました。しかし,根管は立体的に複雑な形をしていることが多いですし,奥歯では複数ある根管がレントゲン上では重なってしまっている場合もあり,情報としては限られたものでした。3D画像では根管の状態を詳細に把握することが出来るため,治療そのものの精度を上げることに役立ちます。

上の奥歯に歯ぐきの腫れ,ぐらつきがあるため,X-Pを撮影した方です。赤矢印付近にトラブルが生じているだろうことは予想出来ますが,確定診断には至りませんでした。

 
3D画像で確認しますと左の横断面図から歯根が破折している箇所(黄色矢印)が存在すること,左右の図から充填剤が注入されていない根管が存在すること(赤色矢印)がわかりました。複数の原因によって腫れやぐらつきが生じていたようです。
インプラントの埋入診断・計画
インプラント治療を行う上でも,3D画像は有用です。インプラントを予定している部分の骨の状態が詳細に確認出来るため,予めインプラントのサイズや長さ,埋入方向など具体的に検討することが可能になりました。


以上のように3D画像から得られる情報は,診断や治療において非常に役立つため,当院では利用する頻度が高くなってきています。