歯のないところに歯を作る

 虫歯や歯周病が進行し,不幸にして歯を抜かなければならなくなった時・・・抜くのはもう仕方がないとしても ,その後はどうしたらいいのでしょうか?本来は抜くにいたるまでの間に抜かなくてもいいように何らかの手段を講じなければならないのですが,抜かなければいけないものはどうしようもありません。ヒトはサメと違っていくらでも替 わりの歯が生えてくるわけでもないですしね。
 抜けた歯の両隣に歯がまだある場合,それらの歯に協力をしてもらってブリッジというかぶせ物を作ることができます。ブリッジはほぼ今までと同じように噛むことができます。


両隣の歯とつなぎ止めます(ブリッジ)

 しかし,隣りに土台となる歯がない場合「入れ歯」というのが従来の治療法でした。


隣に歯がない場合は「入れ歯」

 「入れ歯」は自分の歯と比べると噛めない,違和感がある,しゃべりにくいなど,多くの欠点があります。 「なんとかならないか」というのが昔から歯医者と患者の双方の悩みでした。「いや,自分は入れ歯で何でも噛めるし,カラオケだってばっちり!」という方がいらっしゃるかもしれません。そのような方はとても幸せな方で,入れ歯を作られた先生の腕前と,その方に入れ歯を上手に使いこなせる器用なさが備わっているのでしょう。

 この悩みに関する解決策 として,ひとつは「少しでも違和感なく噛める入れ歯を」という方向に発展していきます。そしてもうひとつは「もう一度人工的に歯を作ってやろう」という方向です。

金属で歯の根っこを作るわけです!

 歯を抜くと歯の埋まっていた穴はやがて骨に覆われます。インプラントはこの骨の中にもう一度歯の根っこの替わりになるものを埋め込み,歯を作ってやろうという考え方です。


 ・・・発想自体は単純ですね。しかし,いざこれを実行しようとすると,なかなか難しい障害が待ち受けているのでした。